天然記念物
天然記念物
県指定
上谷の大クス(かみやつのおおくす)
大正2年3月29日県指定 大字上谷
上谷の山入集落にある、樹周15メートル、樹高30メートル、枝張り42メートルの巨木である。 大正2年、林学者の本多静六が編さんした『大日本老樹番付』では、クスノキとして全国第7位に位置付けられている。その後、昭和63年度に環境庁が行った「緑の国勢調査」では全国第16位・県内第1位に認定された。
暖かい西日本に多く自生するクスノキが、関東の山間部でこのような大木に生長するのはきわめて稀な例である。また、山入集落には慈光寺(ときがわ町)の旧参詣路が通っており、この大クスは「慈光領七木」の一つに挙げられている。
黒山の特殊植物群落(くろやまのとくしゅしょくぶつぐんらく)
昭和31年11月1日県指定 大字黒山
黒山三滝付近に自生する暖地性シダ植物の群落として知られる。特に、三滝近くの岩壁には県内希少野生動植物保護条例の指定種であるアオネカズラが生育しており、自生北限地とされる。このほか、シシランなども生育している。
大高取山のコシダ群落(おおたかとりやまのこしだぐんらく)
昭和39年3月27日県指定 大字越生(新宿)
コシダはウラジロ科に属する暖地性のシダ植物で、西日本には広く分布するが、県内での自生は珍しい。大高取山の山腹南向き斜面に生育している。
梅園神社のスダジイ林(うめそのじんじゃのすだじいりん)
昭和49年5月28日県指定 大字小杉:梅園神社
神社を取り囲む丘陵の北西斜面に、ブナ科のスジダイを中心として、モッコク科のサカキ、ヒサカキ、ブナ科のアラカシ、クスノキ科のタブノキが群生している。
龍穏寺の着生植物群(りゅうおんじのちゃくせいしょくぶつぐん)
平成25年3月12日県指定 大字龍ヶ谷:龍穏寺
寺域山林部の樹木に、湿潤な環境を好む暖地性の着生植物が多数生育している。埼玉県内有数の生育地として、学術上貴重な植物群である。着生ランのセッコクは、毎年5月下旬から6月上旬が見頃となっている。
また、かつては樹高37メートル、目通り周囲4.5メートルのモミの巨木があり、セッコクが群生していた。「龍穏寺のモミ及び着生植物」として県の天然記念物指定を受けていたが、落雷・風害などにより枯れ落ち、倒木の危険があったため伐採された。

平成24年3月に伐採される前の「龍穏寺のモミ」
町指定
龍ヶ谷のヤマザクラ(たつがやのやまざくら)
平成9年4月1日町指定 大字龍ヶ谷
環境庁が自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)の一環として、昭和63年度に行った「巨樹・巨木林調査」の報告書によると、ヤマザクラとしては県内第三位、関東南部では第17位の太さである。
幹周り3.2メートル、樹高18メートル、枝張り東西13.2メートル、南北20.2メートル。

魁雪(かいせつ)
令和7年1月9日町指定 大字堂山:越生梅林内
越生の梅は、南北朝時代の観応(かんのう)元年(1350)に九州太宰府から小杉天満宮(現梅園神社)を分祀した際に、菅原道真に因んで梅を植えたのが起源であると伝えられている。魁雪はその頃の梅(越生野梅<おごせやばい>)がここまで生き永らえてきたものと推定される。
名将太田道灌の父、太田道真(どうしん)は退隠後、越生に居館自得軒(じとくけん)を構えていた。歌人としても名をなした道真は、河越(川越)城で主催した連歌会「川越千句(かわごえせんく)」では―梅さきぬ なほ山里をおもふ哉―と詠んでいる。この会にも同席した当代一流の連歌師・心敬(しんけい)や宗祗(そうぎ)も、越生の梅を讃えた句を残している。
文明18年(1486)6月、道灌は詩友万里集九(ばんりしゅうきゅう)と共に自得軒に父を訪ね、詩歌会を催した。道灌が謀殺されるのは翌7月のことである。父子最後の対面となったこの折に、万里が詠じた漢詩「郭公稀(ほととぎすまれなり)」が、万里の漢詩文集『梅花無尽蔵(ばいかむじんぞう)』に収められている。
道真・道灌父子が、或いは中世の雅人たちが、この梅の花を愛で、その実を手に取ったかも知れない。梅の木は樹齢200年にもなると、捩れがはじまってくると云う。人の世の栄枯を見つめ、650年を経てなお可憐な花を咲かせ続ける貴重な名木である。
幹周り1.07メートル、樹高3.8メートル、枝張り東西8.2メートル、南北8.2メートル。
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